不動産の相続で不動産取得税がかかるのかは気になるところですね。
基本的には相続で不動産を取得した場合には不動産取得税はかからないことになっています。
でもちょっと待ってください!
実は、相続に関連して取得した場合でも不動産取得税を払う場合があります。
あなたが遺言を書く時や、相続での話合いで不動産取得税がかかってくる場合を知らないと思わぬ出費に驚くことになるでしょう。
この記事を読んで相続と不動産取得税について正しい知識を身につけましょう。
相続で不動産取得税がかかってしまう場合
相続で不動産取得税がかかってしまうのは以下のケースです。
注意ポイント
- 遺言で特定の不動産を相続人以外へ渡した場合
- 死因贈与によって不動産を渡した場合
- 遺産分割をやり直した場合
このような場合には、基本的に
土地、住宅 - 固定資産評価額の3% (宅地は半額)
住宅以外の家屋 - 固定資産評価額の4%
※ 2021年3月31日までの特例措置での計算です。
の不動産取得税を支払う必要があります。
軽減措置が適用され上記の金額より支払いが少ない場合もありますが、決して安い金額ではありません。
1億円の不動産であれば300万円ほど支払うケースも考えられます。
不動産取得税がかかってくるケースについて詳しくみていきましょう。
遺言で特定の不動産を相続人以外に渡すと不動産取得税が発生
遺言書で特定の不動産を渡すことを「特定遺贈」といいます。
不動産取得税がかかってしまうのは、
ポイント
- 特定の不動産を渡す
- 相続人以外に渡す
といった場合です。
- 孫に渡す
- 離婚した元妻に渡す
- 会社に渡す
ときには不動産取得税の支払いが発生する場合があるのできちんと考えて渡さなければダメです。
しかし、以下のケースでは不動産取得税はかかりません。
- 全財産を孫に渡す
- 全財産を離婚した元妻に渡す
- 財産の1/2を子に渡し、1/2を孫に渡す
全て財産を渡す又は財産を割合で書いて渡す方法は「包括遺贈」と呼ばれます。税法上包括遺贈には不動産取得税はかからないことになっています。
遺言書の文言一つで何百万円もの支払いが変わってくるので注意が必要なところです。
死因贈与によって渡すと不動産取得税が発生
死因贈与とは生前に「死んだら不動産をあげる」と契約をすることです。
遺言書はいつでも書き直すことができます。
親から不動産をもらう約束をしていたのに、気が変わって他の相続人にあげると遺言書を書き直されてしまうというケースも想定されます。
遺言書での約束とはそれほど不安定なものです。
逆に死因贈与契約の場合は、親の気が変わっても一方的に内容を変更することができません。
死因贈与は確実に財産を承継したいときに使われる手法です。
この場合は、相続ではなく契約によって不動産を取得したとみなされるので不動産取得税がかかってきます。
たとえ、死因贈与の相手が相続人であっても不動産取得税がかかります。
遺産分割協議をやり直すと不動産取得税が発生
遺産分割協議をして財産の分け方を決めたあとに納得がいかず、遺産分割協議をやり直した場合には、不動産取得税がかかります。
一度目の遺産分割は不動産取得税がかからないのに、なぜ遺産分割をやり直すと不動産取得税が発生するのでしょうか?
税法上では、遺産分割をやり直した場合には、贈与として扱われます。
一度話し合いで決めた時点で確定的に所有権が移転して、それを話し合いで所有者を変えるというのは、挙げているのと一緒
という考え方なのです。
国税不服審判所でも
遺産分割協議がいったん成立すると、相続開始時に遡って同協議に基づき相続人に分割した相続財産が確定的に帰属する。したがって、遺産分割協議をやり直して相続財産を再配分したとしても、当初の遺産分割協議に無効又は取り消し得べき原因がある場合等を除き、相続に基づき相続財産を取得したということはできない。そして、この場合、対価なく財産を取得したとすれば、贈与とみるほかはない。
と裁決をくだしています。
ですので、遺産分割をやり直して不動産の所有者が変わった場合には、不動産取得税がかかることになります。
注意ポイント
遺産分割のやり直しには、不動産取得税以外にも、贈与税、登録免許税など多額の税金の支払いをともないます。
財産調査をきちんとして遺産分割のやり直しは絶対起こらないようにしましょう。
相続不動産に関して不動産取得税がかかるケースもあるので注意してください。
相続に関しては不動産取得税は基本的に払わなくて大丈夫ですが、
- 相続人以外への特定遺贈
- 死因贈与
- 遺産分割のやり直し
では不動産取得税が発生します。
遺言書を書く時、相続手続きをするときには一度専門家のアドバイスを聞く事をおすすめします。
大きな財産の名義を変えるという行為は常に税金の問題がついてまわります。
正しい知識をもって相続対策、相続手続きを進めるようにしてください。