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不動産 遺言

遺言書で土地を分割して渡す方法と注意点

 

相続財産として子供たちに土地を分割して残してあげたいといった場合は、

遺言書の作成にひと工夫が必要になります。

  • 土地を分割して渡す場合に必要な準備
  • 遺言書の書き方
  • 先に土地を分割しても大丈夫か?

といった論点について解説してみたいと思います。

 

遺言書で土地を分割して渡す場合に必要な準備

土地を分割してそれぞれ子供たちに渡す場合に必要となるのが、

  • 土地の測量
  • 分割点の指定

です。

一つの土地をいくつかに分けることを「分筆」といいます。

この分筆をするためには、隣接する土地や道路との境(境界)を確定して

そのあと土地を区切るための分筆測量を行うことになります。

この作業をしておかないと、相続させる土地を指定することができないんです。

 

土地を分割する場合の遺言書の書き方

土地を分割して相続させる場合、遺言書には土地の図面を付けるのが一般的です。

土地ABCDをEFの点で区切って、それぞれ長男、次男に渡す場合、

遺言書で相続させる土地を指定する場合は、

所 在  〇〇

地 番  1番1

地 目  宅地

地 積  300㎡

相続対象部分:上記土地のうち別紙図面表記のA,B,E,F,Aの各点を順次直線で結んだ内側部分

といった書き方をします。

図面にはきちんと測量した距離を記入しておきます。

注意ポイント

「土地は半分ずつ分けて、長男、次男に相続させる」というような書き方をしてはいけません。

法的には有効ですが、不動産の特定があいまいなので法務局で名義変更ができなくリスクがあります。

公証役場で作成しても不動産の特定がきちんとされていない遺言もあります。

 

遺言書で土地の分筆について間違ってしまった時の対処法

遺言書の書き方で失敗して、相続の登記申請ができなくなってしまう場合があります。

  • 土地の所在、地番、地目、地積が間違っている
  • 土地の分け方の記載があいまい

などはそのケースです。

この場合は、相続人間で分筆する旨の遺産分割協議を成立させて、協議書を作成して対処します。

手順としては

  1. 遺産分割協議書の作成
  2. 境界画定測量と分筆測量をする
  3. 被相続人名義での分筆登記を申請する
  4. 相続人それぞれの名義で相続登記をする

といった順番がベストです。

先に相続登記をしてしまうと、共有名義となり、

余計な登記手続きと登録免許税という費用が倍近くかかってしまいます。

遺言書の記載を間違えるとトラブルに発展するケースもあるので

こういった事態は避けたいものです。

 

亡くなる前に分筆をして大丈夫か?

亡くなる前に分筆した場合、遺言書を書き直さなくて大丈夫かという問題があります。

実際には、

遺言書の記載どおりに分筆 → 書き直し不要

遺言書の記載と違うところで分筆 → 書き直し必要

となります。

遺言書の記載どおりに分筆をした場合は、

分筆後の土地は地番がずれてしまいますが、

遺言の内容はかわらないので特に書き直しの必要はありません。

実際に法務局へ遺言書を提出して登記申請をしても名義変更が可能です。

逆に、遺言書と違う内容で分筆した場合は書き直しが必要になります。

セットバック部分を市に提供した、一部を分筆して隣に譲ったなどの事情があった場合にも

気を付けてください。

 

まとめ

遺言書に土地を分割する旨を記載して子供たちに渡すといったことは可能です。

ただし、きちんとした測量と遺言書の記載をする必要があります。

実務をしていると、誤って相続登記ができない遺言書が結構見られるので注意してください。

土地を分割して分けて残したい場合には、

  • 境界確定測量と分筆測量をした図面を付ける
  • 不動産の記載の仕方を間違えない

といったポイントに注意して遺言書を作成してみてください。

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司法書士・行政書士 成川修一

司法書士事務所ローライト湘南 代表 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了 研究所研究員、プロギタリストを経て、神奈川県藤沢市で司法書士・行政書士事務所を運営。 相続、不動産、企業法務が専門分野

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