法定相続情報証明制度が2019年5月29日から始まっています。
相続手続きの時に、法務局へ一定の書類を提出すると相続人が誰かという証明書を発行してくれます。
この法務局から発行される「法定相続情報一覧図」には便利な使い方があります。
- 法定相続情報一覧図の取得方法
- 法定相続情報一覧図の便利な使い方
- 法定相続情報証明制度利用の注意点
について解説いたします。
法定相続情報一覧図の便利な使い方
法定相続情報一覧図を取得しておくと以下のような便利な使い方ができます。
- 金融機関での相続手続き時に戸籍の束の代わりになる
- 株式の相続手続き時に戸籍の束の代わりになる
- 不動産の相続手続き時に戸籍の束の代わりになる
- 相続税の申告の際に戸籍の束の代わりになる
- 年金の手続き時に戸籍の束の代わりになる
つまり各種の相続手続きの時に、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍と相続人の現在戸籍を
提出する必要がなくなるということです。
これにどんなメリットがあるかというと
- 法定相続で分配する場合に、複数の手続きを同時に進めることができる
- 各手続で窓口に行ったときに待ち時間が短縮される
- 戸籍の提出漏れを防ぐことができる
という点です。
相続時に戸籍を集めるとかなりの数になります。
相続手続き時に金融機関等に持っていくと戸籍のコピーを取ることになりますが
結構時間がかかります。
複数の金融機関での手続きをするとなると一日時間がとられてしまいます。
法定相続情報一覧図があればそのコピーの作業が1枚ですむのでかなりの時間短縮になるでしょう。
また、提出した戸籍の一部が足りないといったことを防ぐことができます。
昔の戸籍を読むのは専門知識がいります。
私の事務所でも、お客様が最初に持ってきてくださる戸籍の束は足りないことがままあります。
そうしたことを防ぐことができるのも法定相続情報一覧図の利点です。
法定相続情報一覧図の取得方法
法定相続情報証明制度を使って一覧図を取得するためには、以下のことが必要になります。
- 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍と住民票の除票を集める
- 相続人の戸籍謄本を集める
- 法定相続情報一覧図の作成
- 申出書を作成し、管轄の法務局へ必要書類と一緒に提出
これらの作業は、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、
海事代理士、行政書士に頼むこともできます。
提出する法務局は場所が決まっていて
- 被相続人の本籍地
- 被相続人の最後の住所地
- 申出人の住所地
- 被相続人名義の不動産の所在地
で一覧図取得のための申請を受け付けてもらえます。
申請は窓口に持参のほかに郵送でも可能です。
手数料は無料なので申請すれば一度に何枚も発行してもらえます。
後の手続きでいろいろ使う可能性があるので多めに申請しておきましょう。
法定相続情報一覧図取得の必要書類
法定相続情報一覧図の取得の書類は法務局のページに記載されています。
以下のような必要な書類と必要となる場合がある書類に分かれています。
法定相続情報証明制度利用の注意点
法定相続情報証明制度は、以下のようなは注意点があります。
- 申請から一覧図の発行まで時間がかかる(1週間ほど)
- 被相続人や相続人が日本戸籍を有しないなど、戸籍を添付できないは利用できない
- 住所を記載するためには、相続人全員の住民票が必要
- 相続開始後、認知や廃除など相続人が変わることがあった場合は一覧図の申請しなおしが必要
- 申請した法務局でしか再発行ができない
発行まで時間がかかるので不動産の相続のみといった場合は、あまり利用価値はないかもしれません。
まとめ
法定相続情報証明制度は使い方によっては非常に便利です。
多くの預金や株式があったり、相続税の申告がある場合は手続き時間短縮のため取得しても
いいでしょう。
法務局での申請については慣れていないと
「そんなことも指摘してくるの?」
とびっくりされるかもしれません。
何度か書類の訂正で法務局へ足を運ぶ方も多いです。
法務省のページに記載例ありますのでしっかり確認して申請をしてみてください。