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不動産 相続手続き

急に親の相続が。不動産の権利証が見つからないときどうすれば?

登記済権利証

親が亡くなって相続が発生したとき、不動産の権利証の場所があなたは即座にわかりますか?

「家の中を探せばきっとあるだろう」

と思っていても、大事なものですから親もわかりやすいところには保管はしません。

親が生前に紛失していた可能性もあります。

結局見つけられず、どこにいったのかわからないということも多いです。

不動産の権利証がない場合、相続手続きではどうしたらいいかについて解説致します。

いざという時に不動産の知識は大事なのでぜひ、読んでみてください。

 

不動産の権利証がない場合

家の模型と設計図

相続登記では権利証は使わない

権利証とは一般に、登記済権利証の通称で、不動産の登記が完了したときに登記所(法務局)が交付するものです。

現在ではいわゆる登記済権利証は交付されず、代わりに登記識別情報といって12桁の英数字のパスワードが書かれたものが交付されます。

登記済証でも登記識別情報でも役割は同じです。

どちらも、登記名義人本人であることを登記所が確認するための書類です。

不動産の売買や贈与の際にはこの権利証(または登記識別情報)が必ず必要になりますが、

相続の手続きでは通常は権利証は必要ありません。

さらに、相続の手続きをして登記が完了すれば、新たな登記識別情報が交付されますので、今後もし売買や譲渡をすることになったらそれを使えば大丈夫です。

 

相続で権利証が必要なケース

通常は、相続の登記の際に権利証は使いませんが、例外的に必要になることがあります。

亡くなった方の住所と登記簿上の住所が異なっている場合です。

引っ越しなどにより住所が変わった場合には、不動産に登記している住所も変更の手続きをしなければなりませんが、そのままにしてしまっていることもよくあります。

住民票の住所と登記簿上の住所が異なると同姓同名の別人の可能性もある、と判断されるため、同一人物であることを証明する必要があります。

そういった場合は、前の住所の住民票も取得することになりますが、住民票の保管期間は5年間のため、引っ越してから時間が経っていると交付してもらえないことがあります。

その場合は、戸籍の附票を取得するのですが、こちらも除籍から5年間が保管期間のため、亡くなってから5年以上経っていると入手できない可能性があります。

戸籍の附票も取れないときには、権利証または登記識別情報の提出することで不動産の名義変更が受け付けられる法務局が多いです。

登記の名義人に交付されたものを持っているのだから本人だ、ということになるのです。

 

見つからないときの方法

上記のように、住民票も戸籍の附票も取得できず、権利証もないときには、「上申書」を作成して法務局に提出します。

「上申書」では、亡くなった被相続人と登記簿上の名義人が同一人物である旨を、相続人全員で押印して上申します。

なお、権利証は紛失しても再発行してもらうことはできません。

大切に保管してください。

 

遺言書による「遺贈」の場合も権利証が必要

遺言公正証書謄本

相続人以外に財産を渡す「遺贈」

遺言書の中に法定相続人ではない人へ不動産を渡す旨の記載があったら、権利証が必要になります。

法定相続人ではない人へ財産を贈ることは「相続」ではないため、不動産売買や贈与時に権利証が必要であるのと同じように、遺贈でも権利証が必要です。

遺贈の際に権利証がない場合は、相続時の上申書とは異なる方法がとられます。

ただ、手続きをするのは新たに不動産の名義人となる人、つまり遺贈を受け取る人です。

親の遺言書に遺贈のことが書かれていたら、あなたがこの手続きをする可能性は低いでしょう。

事前通知制度

登記官が現在の所有者宛に本人確認を行ないます。

申請があった旨、申請の内容が真実であると思料されるときは一定の期間内にその申し出をすべき旨を事前に通知することで、本人確認をする方法です。

しかし、登記簿上の現在の所有者が亡くなっているため、遺言書に遺言執行者が指定されていれば遺言執行者宛に、指定されていなければ法定相続人全員に本人確認を行うことになります。

この通知に対し、返事がない場合は、本人確認が出来ないため登記をすることはできません。

 

司法書士による本人確認情報の提供

職権により代理登記できる司法書士が、本人確認を行なう方法です。

司法書士が本人であることの確認をしその責任を持つ、という確認方法のため、当然報酬が発生します。

司法書士の本人確認書類作成の相場は、5~20万円ぐらいです。

高額かと思われるかもしれませんが、本人が偽物だった場合、司法書士が全責任を負うことになります。

一人で数千万~数十億の損害をかぶることになるので、リスクと報酬が全く合わないということで本人確認書類の作成を断る司法書士もいます。

 

相続手続きでは基本的に不動産の権利証が見つからなくても大丈夫

権利証が見つからない場合は、相続手続きが全くできないわけではありません。

ただし、

  • 相続から時間が経っていて住民票の除票がとれない
  • 遺言書で遺贈する旨の記載がある

といった場合は、相続手続きに権利証が必要になります。

また権利証は、どのような不動産が相続財産としてあるのかを確認するのに有用な書類となります。

今のうちに親の権利証がちゃんと保管されているのか、保管されているならどこにあるのか、一度確認しておきましょう。

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司法書士・行政書士 成川修一

司法書士事務所ローライト湘南 代表 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了 研究所研究員、プロギタリストを経て、神奈川県藤沢市で司法書士・行政書士事務所を運営。 相続、不動産、企業法務が専門分野

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