親の認知症が進んでしまったため、あなたが成年後見人になることが決まりました。
成年後見人としてやらなければならない手続きは具体的にどういう内容でしょうか。
就任直後にまずやることをご説明します。
登記事項証明書の取得
成年後見人の申立によって家庭裁判所が成年後見人を選任すると、決定内容が「審判書」によって通知されます。審判書は、申立人と後見人に送付されます。
審判書による通知が行われてから約2週間後に、通知内容が確定し、東京法務局に確定した事項が登記されます。
この、成年後見人について登記された事項の証明書(登記事項証明書)は、あなたが親の成年後見人であることの公的な証明書となります。
今後、金融機関等での手続きに必要な書類となりますので、何通か取得しておくと手間が省けてよいでしょう。
成年後見登記の登記事項証明書は、以下の2つの方法で取得することができます。
①直接法務局へ行く
成年後見登記の登記事項証明書は法務局の本局で発行してもらえます。ただし、法務局支局や出張所では発行してもらえませんので法務局の管轄一覧で事前に確認しましょう。
印鑑と本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)を持参します。
②郵送で取り寄せる
郵送で取得する場合の請求先は、東京法務局のみとなります。
法務局のホームページから申請書をダウンロードし、下記を封筒に入れて送りましょう。
・申請書
・収入印紙(1枚につき550円。申請書に貼付します)
・本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)のコピー
・切手を貼った返信用封筒
送り先の住所は以下の通りです。
〒102-8226
東京都千代田区九段南1-1-15 九段第二合同庁舎
東京法務局民事行政部後見登録課
申請書を送ってから、登記事項証明書が手元に届くまで1週間~10日程度かかります。
金融機関等への届出
成年後見登記事項証明書を取得したら、金融機関や市町村に対して届出を行ないます。今後、各種関係機関への手続き等は成年後見人が行なうことになります。
金融機関での親の名義の口座は、「成年後見人〇〇〇〇(自分の名前)」に名義変更するか、新たに口座を開設します。
これで親の預金をあなたが管理できるようになります。
また、市町村役場や年金事務所、税務署等にも届出を行ない、郵便物の宛先を成年後見人宛にしてもらうようにしましょう。
以下の書類等は親から預かり大切に保管しましょう。
・預金通帳
・キャッシュカード
・銀行の届出印
・権利証・登記識別情報
・実印
・印鑑登録カード
・マイナンバーカード
・保険証書
・年金手帳 など
財産の調査、財産目録の作成
成年後見人になったら、親の財産を調査し、財産目録を作成して家庭裁判所へ提出しなければなりません。
具体的な提出期限は裁判所から指示されますが、成年後見人に就任してから約1か月以内に財産目録を提出することになります。
具体的な財産は以下のものが挙げられます。
- 不動産・・・登記簿謄本を取得し、預かっている権利証や登記識別情報、また固定資産評価証明書と照合しましょう
- 預貯金、借入金・・・残高証明書や預貯金通帳を確認しましょう
- 株式、有価証券・・・証券会社へ成年後見人に就任したことを届け出ましょう
- 保険・・・親が生命保険などの契約をしている場合は、保険証書で内容を確認しましょう
- 車・・・車検証を確認しましょう
親の財産をすべて確認したら、財産目録を作成します。
財産目録のひな型は、家庭裁判所のホームページからダウンロードできます。
年間収支額の予定
親の年間の収入と支出を確認し、今後の生活の収支計画を立て、年間収支予定表を家庭裁判所へ提出します。
収支予定表の提出期限も、成年後見人に就任してから約1か月以内です。
収入は、年金、公的手当、不動産収入、株式配当、預貯金利息等を預貯金通帳などから確認します。
支出は、家賃、公共料金、税金、食費や医療費など、親の生活に必要な費用を預貯金口座の引き落としや請求書・領収書、またクレジットカードの明細などから確認します。
収支予定表のひな型も、家庭裁判所のホームページからダウンロードできます。
裁判所への報告
成年後見人に就任してから約1か月以内に、作成した財産目録と収支予定表を家庭裁判所へ提出します。
なお、家庭裁判所への報告は毎年行なう必要があり、後見当事務報告書に財産目録と収支予定表を付けて提出します。
2回目以降の報告に使用する書式は、家庭裁判所のホームページからダウンロードできます。
まとめ
成年後見人に就任してすぐに行わなければならないことは結構多いうえに、細かい作業となります。
就任して慌てることのないように早めに準備しておくと安心です。