2018年1月1日から休眠預金等活用法が施行され、2019年1月1日から休眠預金が発生します。
2008年1月1日以降、10年以上取引のない口座の預金は休眠預金として民間公益活動に活用されることになりました。
今回は、この休眠預金と相続について解説します。
休眠預金とは
長い間、眠ったままになっている口座はありませんか?
付き合いで口座だけ開設してから使っていない、転職したら給与振込口座が変わったので使わなくなった、結婚前に使っていたけどずっと放置している、など、長期間取引がない預金を休眠預金と呼びます。
この中には、亡くなった方が口座を持っていたことを遺族が誰も把握しておらず、ずっとそのままになっているものも多くあります。
休眠預金は年間で700億円を超えると言われています。
休眠預金等活用法の施行により、この放置されている預金が民間公益活動に活用されることになり、1月11日付で指定活用団体も指定されました。
使われていないお金が社会のために活用されるならよいことにも思えますが、自分の預金が使われてしまうとなると話は別ですよね。
口座の残金が数千円ならまだしも、数十万、数百万の預金がそのままになっている場合は注意が必要です。
特に、自分の死後に妻が使えるようにと思って貯めておいた預金や、子供に相続させる分として専用に口座を作って貯めてある預金など、多額の預金口座も休眠預金等活用法の対象となる可能性があります。
休眠預金の対象となる口座と移管
以下に該当する口座がある場合は、すぐに入出金など何らかの取引を行なうか、解約することをお勧めします。
休眠預金となる口座
- 2009年1月1日以降、10年以上、入出金等の取引がない
※通帳記帳、残高照会、顧客情報の変更をもって取引があったとするかどうかは金融機関によって異なります。 - 普通預金・定期預金・当座預金・別段預金・貯蓄預金・定期積金・相互掛金・金銭信託(元本補填のもの)・金融債(保護預かりのもの)
※外貨預金・譲渡性預金・金融債(保護預かりなし)・郵政民営化(2007年10月1日)より前に郵便局に預けられた定額郵便貯金等・財形貯蓄・仕組預金・マル優口座は対象外です。
上記に該当する預金について、銀行などの金融機関は1万円以上の預金の場合は口座名義の本人に対して通知を行ないます。1万円未満の場合は通知がありませんので注意しましょう。
この通知を受け取れば、その通知の送付から10年間は預金が移管されることはありません。
しかし、引っ越しなどで住所変更をしていなかったりして通知を受け取らなかった場合は、預金は預金保険機構に移管されることになります。
といっても、預金保険機構に移管されてしまった預金は、没収されてしまったわけではありません。
通帳と本人確認ができれば、いつでも口座の継続や解約ができます。
相続時に気づかれずに休眠預金にならないように
本人が生きていれば、10年以上放置されて預金保険機構に移管されることになったとしても、手続きを行うことで払い戻すことができます。
しかし亡くなった方の預金を遺族が誰も知らず、休眠預金となってしまうと、もう誰も取り戻すことができません。
あなたがせっかく貯めた預金も、誰にも知らせなければ家族に相続することができないのです。
きちんと財産を家族に残せるように、以下のことをしておきましょう。
ポイント
- 口座を洗い出して整理する
使っていない口座は解約しましょう。多額の預金があるけど使っていない場合は、公共料金の引き落としなど、定期的に使われるようにしておくのも一つの手です。 - 財産の情報を家族と共有する
生きているうちに伝えることがはばかられる場合は、エンディングノートを書いて残された人に伝えるのもよいでしょう。 - 遺言書を残す
メモやエンディングノートでは情報を伝えるだけで法的根拠となりません。
より確実に遺言書を残すには、公正証書遺言にすることをおすすめします。
まとめ
2019年に入り、休眠預金の発生が始まりました。
これを機にご自身の財産をもう一度整理してみてはいかがでしょうか。