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遺言

遺言書の内容を変更する3つの方法と失敗しないための注意点

遺言書の用紙とボールペン

遺言書を作成してあるけれど、

「状況がかわりやっぱり書き直したい」

ということもあるでしょう。

あなたが遺言書の内容を変更するのは、いつでも何度でも可能です。

しかし、やり方を間違えると内容の変更が無効になったり、残された家族のトラブルの原因になってしまいます。

あなたが遺言書の内容を変更したいと考えているなら、上記のようなトラブルを避けるため一度この記事を読んでから取り掛かってください。

 

遺言書の内容を変更したい場合

遺言書のイラスト

遺言書の内容を変更したいとき、以下の3つの方法があります。

ポイント

  1. 公正証書遺言を新たに作成する
  2. 自筆証書遺言を新たに作成する
  3. 遺言書に記載された財産を処分する

 

①公正証書遺言を新たに作成する

遺言公正証書謄本とボールペン

公証役場に行って変更したい内容で遺言をもう一度作成します。

すでに作成された遺言書の一部を修正する、といった方法ではなく、全部を撤回したうえで一から作り直すことになります。

実際には、新しい遺言書の冒頭で、前の遺言書を撤回する旨が記載されます。

公正証書遺言を作成しなおす方法は、確実に遺言を残すことができるため安心です。

ただし、新たに遺言書を作成する手数料がかかります。

また、遺言の撤回に関して11,000円の手数料が追加でかかります。

 

②自筆証書遺言を新たに作成する

自筆証書遺言

上記のとおり、公正証書遺言を作成しなおすとお金がかかってしまいます。

内容を修正するたびにお金を払うのは大変という場合には、自筆証書遺言を後から作成することで、前の公正証書遺言も撤回することができます。

公正証書遺言を作成したときに、公証役場から遺言書の正本と謄本をそれぞれ1部ずつ交付されますが、あなたの手元にある正本や謄本を破棄しても遺言の撤回にはなりません。

公証役場で公正証書遺言を書き直す手続きをするか、自筆証書遺言で公正証書遺言を撤回する必要があります。

自筆で撤回する場合には、

遺言者は、平成〇年〇月〇日〇〇法務局所属公証人〇〇作成平成〇〇年第〇〇号の公正証書遺言を全部撤回する。

といった文言を書き込みます。

こうした撤回の文言がなくても、後に書いた自筆証書遺言の内容と前の遺言書の内容に矛盾がある場合には、後に書いた自筆証書遺言が優先されます。

しかし、矛盾がない事項については前に書かれた内容も有効のままとなり、混乱を招く原因ともなります。

残された家族が分かりやすいように、前の遺言書は全部撤回して一から作り直しましょう。

また、自筆証書遺言の場合は記載事項が要件を満たしていなければ効力を持ちません。作成時には注意しましょう。

注意ポイント

自筆証書遺言での遺言の撤回は保管の問題、内容の有効性の問題からおすすめ致しません。

自筆証書遺言の紛失や死後見つからず公証役場に保管してある遺言書で手続きを進められてしまう可能性もあります。

 

自筆証書遺言で内容を変更したい場合の注意点

自分で書いた遺言書を書き直した場合には、基本的に新しい日付のものが有効となります。

もし日付の新しい遺言書と古い遺言書の内容で矛盾があれば、古い遺言書の内容については撤回されたこととなります。

ただ、新しい遺言書を書く際には、古い遺言書は破棄しましょう。

古い遺言書の内容をのこしておくと以下のようなデメリットがあるからです。

古い遺言書を残しておくデメリット

  • 遺言書の一部が発見されない可能性がある
  • 残された家族が全ての遺言書を読んで有効な事実を判断しなければならない
  • 内容について争いに発展する可能性がある

遺言書が一通だけ存在する状態にしておくことがトラブルを避ける上でのポイントです。

 

③遺言書の財産を処分することによる内容の変更

一戸建ての模型を渡す人形と受け取る人形

自分が生きているうちに、遺言書に記載した財産そのものを処分してしまった場合、遺言書に書かれた当該の事項は無効になります。

たとえば、「土地Aを長男に相続させる」と書いた後で、土地Aを売却したとします。

その場合「土地Aを長男に相続させる」という文言は無効になります。

土地の売却代金が残っていた場合は、法定相続分または遺産分割協議の内容に従って分けることになります。

 

遺言書に書かれた財産を処分したことでトラブルになるケース

「土地Aを長男に、預貯金を次男に相続させる」と遺言書に書いた場合に、

土地Aを売却してしまったケースでは

「預貯金を次男に相続させる」

という文言のみが有効になります。

土地Aの売却代金が預金口座にあると全ての財産は次男のものということになります。

こうしたケースでは遺言書を書いたことで逆にトラブルになってしまいます。

遺言書に書いた財産に変更があった場合には、ほかの財産の見直しも含めて書き直すことを検討しましょう。

 

 

まとめ

すでに作成した遺言書はいつでも何度でも変更することができます。

遺言書はあなたの最後の意思を反映させるものだからです。

一度書いた後でも、時間がたてば財産の状況やあなたの思いが変わることもあるかもしれないので、定期的に見直してみましょう。

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司法書士・行政書士 成川修一

司法書士事務所ローライト湘南 代表 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了 研究所研究員、プロギタリストを経て、神奈川県藤沢市で司法書士・行政書士事務所を運営。 相続、不動産、企業法務が専門分野

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