法制審議会は相続登記の義務化などを柱とする答申案をまとめ、法務省が国会に関連法案を提出する方針となりました。
これにより相続登記をしていない不動産について、過料という名の罰金が裁判所から課されることになります。
時期は2023年をめどということですので、あと2年ほどで相続登記が義務化される可能性が高くなりました。
- 不動産の相続手続きを放置するとどうなるか?
- 相続登記義務化のための対策
- そのほかの不動産の登記に関する改正点
について解説します。
相続登記を放置するとどうなるのか?
現在の相続手続きにおいて、不動産の相続手続きの期限は決められていません。
ですので相続登記をしなくても、日常生活には影響がありませんでした。
相続登記が義務化されると
- 一定期間内に相続手続きをしないと過料という罰金を請求される
- 不動産の名義変更を行っていないと役所から注意をされる
- 過料を支払わないで放置すると財産の差し押さえを受ける
ということになります。
予定では、相続人が不動産の所有者の死亡を知った日から3年以内に名義変更をしなければいけなくなります。
相続登記義務化の対策
相続登記義務化が決定された場合、相続手続きをしていない不動産についてなんらかの措置をとる必要があります。
考えられるのは、
- 相続人同士で話あって不動産について相続登記を申請する
- 不動産の所有権放棄の制度の利用を検討する
- 行方不明の相続人がいる場合は、裁判所の手続きを利用する
といったことになります。
所有権の放棄については相続登記義務化といっしょに法改正の話がでてきており、
権利関係に争いがなく、土壌汚染がないことなどを条件に
10年分の土地管理費に相当する金額を納付することで所有権を放棄することができる制度です。
現状、相続登記が可能であれば早めに手続きをした方がいいと思います。
義務化後は、多くの相続手続きが必要な不動産で溢れますので
需要と供給の関係から専門家に頼んだ場合手続き費用は間違いなく上がることになります。
不動産名義人の住所や氏名の変更も義務化に
相続登記義務化に加えて、住所や氏名の変更登記の義務化も導入される予定となっています。
住所や氏名に変更があった場合に、不動産の名義人の住所変更や氏名の変更を怠っていると
5万円の過料を科すことが予定されています。
現状、九州よりおおきな面積の土地が所有者不明となってしまっていますので
その対策に法務省が本気で取り組み始めたという形になります。
まとめ
相続登記義務化の関連法案が国会を通れば、2023年には相続による
名義変更をしておかなければいけなくなります。
つまり、不動産の相続手続きをしていないことで日常生活に悪影響が及ぶことになります。
こうした状況になりましたので、不動産の相続手続きをしていないなら早めに対策を検討しましょう。