配偶者居住権の制度が2020年4月から始まっています。
配偶者居住権とは、相続開始後登記をすることで亡くなった方の配偶者が自宅に住み続けられる権利です。
配偶者居住権を設定すると
建物の所有者 ー 相続人
建物の使用者 - 配偶者
となります。
この場合、毎年の固定資産税の支払いはどうしたらいいかについて解説してみたいと思います。
建物の固定資産税の支払い義務は配偶者だが、、、
建物の固定資産税の支払い義務について
まず建物の固定資産税の支払い義務は配偶者居住権を設定した配偶者にあります。
これは、
民法第1034条
(居住建物の費用の負担)
第千三十四条 配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。
という民法の規定に定められています。
固定資産税の支払いについては居住建物の通常の必要費になります。
ただし、固定資産税の納税通知書については、建物を相続した相続人に来ることが想定されます。
これは固定資産税の納税通知書は不動産所有者に送られるからです。
ですので、
固定資産税納税通知書を受け取った相続人が支払い、配偶者居住権を設定した配偶者へ請求する
という形になります。
土地の固定資産税の支払い義務について
土地の固定資産税の支払い義務については、所有者である相続人になります。
配偶者居住権は、建物を利用する権利ですので土地についての費用負担義務はありません。
配偶者居住権のある土地を相続した場合は、たとえ全く使っていなくても
相続人が固定資産税を支払い続けることになります。
ポイント
- 配偶者居住権を設定した建物の固定資産税の支払い義務は配偶者
- 建物と土地の固定資産税はまとめて相続人が支払う
- 建物の固定資産税の分だけ配偶者へ請求
遺産分割協議の場合は固定資産税について取り決めすべき
遺産分割協議によって配偶者居住権を設定することができます。
こうした場合、所有者側に固定資産税の納税通知書が来る可能性をふまえ
支払いは誰がすべきか協議しておきましょう。
固定資産税は毎年の負担として結構大きな額になります。
特に土地についての額が大きくなりがちで、負担は所有者である相続人になりますので
注意しましょう。
固定資産税を配偶者が払ってくれないとき
固定資産税を配偶者が払ってくれないときでも、納税通知書を受け取ったならば払わなければなりません。
課税台帳に載っている建物の所有者が支払いを怠ると所有者の財産に差し押さえ等受けることになるので
気を付けましょう。
所有者として相続人が支払った場合は、配偶者へ支払った金額を請求することができます。
まとめ
配偶者居住権については2020年から新しく始まった制度です。
配偶者居住権を設定する際には固定資産税の支払いの件も考慮して検討してください。
ポイントは
- 納税通知書は配偶者でなく所有者である相続人にくる
- 建物の固定資産税を負担すべき人は配偶者
- 土地の固定資産税は所有者である相続人が支払い義務がある
ということになります。
固定資産税の支払いに迷ったら上記の点を参考にしてください。