相続が発生した際に、住宅ローンが残っている場合は、
住宅ローンの返済手続き、不動産の登記手続き、相続税の計算などをする必要があります。
相続発生時の
- 住宅ローンの返済手続き
- 不動産の登記手続き
- 住宅ローンは相続税の計算に含めるのか?
といったことを解説いたします。
相続時の住宅ローンの残債は、団体信用生命保険で支払われる
亡くなった方の住宅ローンは、
団信(団体信用生命保険)に加入していれば保険会社によって全額支払われます。
相続人が住宅ローンを引き継ぐといったことはありません。
相続時の団信の手続きの流れ
団信に住宅ローンの支払いをしてもらうためには、手続きが必要です。
手続きの順番としては、
- 住宅ローンを申し込んだ金融機関に死亡の連絡をする
- 死亡診断書、住民票の除票を準備する
- 取り扱い金融機関から受け取る書類に必要事項を記載
- 生命保険会社が書類の審査
- 住宅ローンの完済の手続き
という流れになります。
住宅ローンの金融機関に連絡すれば、団信への加入の有無や詳しい手続きの流れを教えてもらえます。
団信へ加入していなかった場合
団信への加入がなければ、相続人が住宅ローンを引き継ぐことになります。
法律上相続では、現預金、不動産、株式といったプラスの財産だけでなく、
借金などのマイナスの財産も一緒に引き継ぐことになるからです。
住宅ローンを引き継ぎたくない場合は、すべての財産の相続を放棄する
「相続放棄」の手続きを家庭裁判所に申立てます。
相続放棄の手続きは亡くなったことをしった時から3か月以内にする必要があるので
注意が必要です。
住宅ローンが残っていた際には、相続登記と抵当権抹消登記が必要
相続時に住宅ローンが残っていて、団信に加入していた場合には、
- 不動産の相続登記
- 住宅ローンについての抵当権抹消登記
といった2段の登記手続きが必要になり少し複雑になります。
不動産の相続手続きについては下記の記事で詳しく解説しているので読んでみてください。
-
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住宅ローンの抵当権抹消手続きに関しては、
団信の連絡をした金融機関から住宅ローン返済後に抵当権抹消用の書類を渡してもらえます。
法務局に提出する書類を作成する必要があるのですが、
相続登記後に抵当権抹消を行うので申請人が相続人となることに注意して書類を作成してください。
一般的には司法書士に相続登記と抵当権抹消登記を一緒に頼んでしまう方が多いです。
住宅ローンの相続税の計算方法
住宅ローンは借金ですので、相続税の計算上マイナス(控除)してもらえるかという問題があります。
基本的な取り扱いは以下のようになります。
相続税計算上の控除があるか | |
団信を使って住宅ローンを完済 | × |
団信に加入しておらず相続人が引き継ぐ | 〇 |
団信に加入しておらず被相続人の連帯保証債務を引き継ぐ | ケースによって異なる |
団信によって住宅ローンを完済した場合には、相続税の計算上住宅ローンはなかったことになります。
逆に団信に加入しておらず、住宅ローンを全額引き継いだ場合には、相続税の計算上控除することができます。
問題は、亡くなった方が住宅ローンの連帯保証人となっていた債務を引き継いだ場合です。
この場合は、
- 亡くなった方が確実に負担する部分が明らかである場合はその額を控除
- 他の連帯債務者に支払い能力がない場合はその部分も控除
といった取り扱いになります。
素人では判断が難しい部分なので相続税に強い税理士に相談しましょう。
まとめ
相続時の住宅ローンについて団信に加入していれば、返済について相続人が心配する必要はありません。
ただし、相続人の側から手続きをしていく必要があるので
一定の知識は必要になります。
相続登記後の抵当権抹消をしていないケースが実務でもよく見られます。
抵当権の抹消を忘れているとあとあと手続きが大変になってしまうので
相続時に住宅ローンの完済をしたら必ず抵当権抹消の手続きをしておきましょう。