相続による名義変更の放置が問題化しているため国は相続登記の免税措置を打ち出しています。
平成30年11月15日から平成33年3月31日までの間に条件を満たせば名義変更にかかる登録免許税という税金が無料になります。
あなたの家で相続による名義変更を忘れていたという場合は、この機会に相続登記をしてしまいましょう。
相続登記の登録免許税が無料になる条件
相続登記が無料になる条件は以下の3つを満たすことです。
相続登記無料の条件
- 平成30年11月15日~平成33年3月31日までに申請
- 市街化区域外の土地で法務大臣が指定した地区
- 不動産の価格が10万円以下
ポイントとしては、条件に合う土地であればいつ相続が起こったものでも大丈夫だということです。
例えば平成元年死亡の相続登記を忘れていて、上記の期間中に申請をしても免税措置が受けられます。
「なんだ、そんなの当てはまる土地ないよ」
と思うでしょうが、相続の際は該当してくる土地が意外とあります。
すでに私も該当する土地で何件か登記申請を出しています。
実際にどういったケースで使えるのかを説明致します。
該当する土地は農地、山林、道路部分など
10万円以下の土地はそうそうないと感じるかもしれませんが意外と多いです。
固定資産税評価額で農地や山林は非常に低い額で評価されています。
藤沢でも北部の方の畑の評価は1㎡あたり35円ほどです。
地方の山林ですと4000㎡で5万円なんて評価もありました。
相続では宅地や建物と一緒に農地や山林も引き継ぐケースが多いです
そうした際には、この免税措置を使えますので積極的に活用しましょう。
また、共有道路の持分など非常に小さな土地でも評価額は低くなるので免税措置が使えます。
法務大臣指定の土地の範囲はかなり広い
「土地に法務大臣の指定がないとダメじゃないか」
と思われるかもしれませんが、指定の土地の範囲かなり広いです。
神奈川県でいいますとほぼ全域が指定の範囲にあたります。
法務大臣しての土地は、各法務局のページに記載されています。
以下のPDFにリンクがありますのでそちらから確認することができます。
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001274169.pdf
問題は市街化区域外にあたるかどうかです。
市外化区域外には
- 市街化調整区域
- 都市計画区域外の土地(非線引き区域)
の2つがあります。
こちらは土地の所在地の市区町村の都市計画課に電話をして聞いてもいいですし、インターネット等で調べることもできます。
「○○市 都市計画情報」
といったワードで検索をすると土地の情報を調べることができます。
無料の条件にあてはまるか調べるには?
- 固定資産評価証明で土地の評価額を調べる
- 法務大臣の指定のある都市であるか調べる
- 都市計画課又はインターネットで市街化区域外かを調べる
免税措置を受けるための申請の仕方
免税措置を受けるには、
「租税特別措置法第84条の2の3第2項により⾮課税」
と申請書に記載することが必要です。
また、10万円以下であることを証明するために固定資産評価証明書の添付も必要です。
注意ポイント
固定資産評価証明書の添付については法務局ごとに異なります。原本を提出するところ、写しでOKなところ、固定資産税納税通知書の課税明細でOKなところと様々です。
管轄の法務局へ確認をしてください。
申請書の記載例
登 記 申 請 書
登記の目的 所有権移転
原 因 平成○○年〇月〇日 相続
相 続 人 (被相続人 ○○)
神奈川県藤沢市藤沢○○番地
藤沢 太朗
添付情報 登記原因証明情報 住所証明情報
□ 登記識別情報の添付を希望しません
平成○○年〇月〇日申請 ○○法務局 御中
登録免許税 租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税
不動産の表示
申請書には登録免許税が非課税であるむね記載しておけば収入印紙を貼らずに提出できます。
また、他の土地と同時に申請する場合でも該当する土地だけ非課税として申請することができます。
その場合の申請書の書き方は以下のようになります。
登 記 申 請 書
登記の目的 所有権移転
原 因 平成○○年〇月〇日 相続
相 続 人 (被相続人 ○○)
神奈川県藤沢市藤沢○○番地
藤沢 太朗
添付情報 登記原因証明情報 住所証明情報
□ 登記識別情報の添付を希望しません
平成○○年〇月〇日申請 ○○法務局 御中
課税価格 金1000万円
登録免許税 金4万円
一部の土地(藤沢市藤沢○○番地の土地)について
租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税
不動産の表示
このように申請書を書いて必要書類とともに法務局へあなたが持っていけば相続による名義変更が無料で行えることになります。
相続登記はお早めに
相続登記をしないで放置しておくと所有者が不明になったり、多数の親族同士で話をまとめなくてはいけなくなったりと面倒が増えます。
また、相続登記の放置については法改正で罰則を科すことも検討されています。
これを機会に相続登記を済ませていない方は名義変更をしてすっきりしておきましょう。