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認知症対策

最高裁が成年後見の報酬改定。今後の後見人報酬はどうなるか?

投稿日:

最高裁判所

認知症や知的障害などで判断力が不十分な人を支援するために、成年後見制度があります。

成年後見制度を利用すると、利用者は後見人に対して報酬を支払う必要があります。

成年後見制度を運用する最高裁は平成31年3月25日までに、この報酬の算定方法を改定する考えを全国の家庭裁判所に通知しました。

現在は、利用者の財産額に応じて後見人の報酬額が決められていますが、業務の難易度により金額を調整する方法に変わります。

介護や福祉サービスの契約といった日常生活の支援に関する業務の報酬が手厚くなります。

 

現行の成年後見の報酬

保険のパンフレットと現金と計算機

具体的に、成年後見人の報酬額はどのくらいなのでしょうか。

成年後見人の基本報酬

成年後見人が通常の後見事務を行なった場合の報酬を基本報酬と呼びます。

これまで裁判所が公示していた一般的な基本報酬の金額は以下のとおりでした。

管理財産額(預貯金及び有価証券等の流動資産の合計額)が高額な場合 には、財産管理事務が複雑になる場合が多いという理由から、管理財産額が増えるほど報酬額も上がるようになっていました。

管理財産額 報酬額
1,000万円以下 2万円
1、000万円超、5,000万円以下 3万円~4万円
5,000万円超 5万円~6万円

なお、通常の後見事務とは以下のような業務です。

◆財産管理

  • 現金、預貯金、不動産等の管理
  • 収入、支出の管理
  • 有価証券等の金融商品の管理
  • 税務処理(確定申告、納税等)

◆身上監護

  • 病院等の受診、医療・入退院等に関する契約、費用の支払い
  • 住居の確保に関する契約、費用の支払い
  • 福祉施設等の入退所・通所に関する契約、費用の支払い
  • 介護、保健、福祉サービスに関連して必要な申請、契約、費用の支払い
  • 教育、リハビリ、就労、余暇活動、文化的活動等の社会参加に関する契約、費用の支払い

成年後見人の付加報酬

身上監護等に特別困難な事情があった場合には、上記基本報酬額の50パーセントの範囲内で相当額の報酬を付加されます。

具体的には、たとえば以下のような事案です。

  • 収益不動産が多数ありその管理が複雑である事案
  • 親族間に意見の対立がありその調整が必要な事案
  • 成年後見人等の不正があり後任の成年後見人等がその対応にあたる事案

また、成年後見人が次の具体例に示すような特別の行為をした場合には相当額の報酬を付加することがあります。

(1)訴訟
被後見人が不法行為による被害を受けたことを原因として、加害者に対する1000万円の損害賠償請求訴訟を提起し勝訴判決を得て、管理財産額を1000万円増額させた場合

付加報酬額:約80万円~約150万円

(2)遺産分割調停
被後見人の配偶者が死亡したことによる遺産分割の調停を申し立て、相手方の子らとの間で調停が成立したことにより、総額約4000万円の遺産のうち約2000万円相当の遺産を取得させた場合

付加報酬額:約55万円~約100万円

(3)居住用不動産の任意売却
被後見人の療養看護費用を捻出する目的で、その居住用不動産を、家庭裁判所の許可を得て3000万円で任意売却した場合

付加報酬額:約40万円~約70万円

 

成年後見の報酬はどのように変わるか

ニット帽をかぶった老夫婦

高齢化で認知症の人が増える中、生活支援のニーズは高まっています。

しかし、利用者からは「後見人が報酬に見合う仕事をしない」といった不満が出ていました。

上記のとおり、身上監護等の生活を支える業務は定額の基本報酬のなかに含まれており、成年後見人が手厚くしてもしなくても報酬は変わらない、ということも原因の一つかもしれません。

そこで新しい仕組みでは、業務の内容に関係なく定額の報酬を与えたり、財産の額によって決めたりする方法を廃止することになりました。

財産目録の作成や本人との面会など、各業務の難易度に応じて「標準額」を定め、実施した業務に応じて標準額を加算・減算する形が想定されています。

詳しい算定方法は今後、各家庭裁判所の裁判官が決めることになっています。

これによって、利用者の納得が得られるようにして、これから増えていくことが見込まれる認知症の人の利用を促す狙いです。

財産額が多く、これまで多額の報酬を支払っていた人にとっては、負担が減るうえに生活に必要な業務をきちんとやってもらえるようになるというメリットがあるでしょう。

一方で、低所得の人にとっては、これまで2万円で最低限の支援を受けられたのに、かえって負担が増えるという可能性があります。

低所得者の中には現在でも報酬を支払えず、後見人が無報酬で働いているケースがあるため、「引き受け手が現れない例が増え、制度を利用できない人も出てくるのではないか」との懸念もあります。

最高裁は、後見人の交代を柔軟に認めるほか、選任では親族などの身近な支援者を優先する考えも示しています。

親族が後見人になると使い込みをしてしまうケースがあり、近年では専門職が後見人に選任されることが多くなっていました。

しかし、やはり近くにいる親族のほうが利用者の生活をよくわかっていますし、報酬の負担という面からも、親族を後見人としたほうがよいという考えが出てきているのです。

 

まとめ

最高裁の決定で後見人の報酬の算定が大きく変わることになります。

今後は

  • 業務の難易度
  • 日常介護

など実際にかかった手間に対して多く報酬を付与する形になります。

報酬改定で後見人へ支払っていた報酬が上がってしまうことも想定されます。

報酬の具体的な数字はこれからというところです。

 

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司法書士・行政書士 成川修一

司法書士事務所ローライト湘南 代表 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了 研究所研究員、プロギタリストを経て、神奈川県藤沢市で司法書士・行政書士事務所を運営。 相続、不動産、企業法務が専門分野

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