相続が発生すると、相続手続きをしようとして戸籍謄本や印鑑証明書などを集めますよね。
しかし、相続人が多忙で手続きができなかったり、遺産分割の話し合いがなかなか進まなかったりと、相続がすぐに完了するとは限りません。
途中まで書類を集めたのに放置してしまった場合、ずいぶん前に取得した戸籍謄本や印鑑証明書は使えるのでしょうか。
相続登記の必要書類に有効期限はない、ただし注意が必要
相続登記の申請に必要な証明書類は主に下記が挙げられます。
- 亡くなった人の出生から死亡までの戸籍
- 相続人全員の現在戸籍
- 亡くなった人の住民票(除籍)
- 不動産を相続する人の住民票
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 不動産の固定資産評価証明書
これだけの書類をまた一から集めなおすとなると、かなり手間ですよね。
基本的には有効期限は定められていません。
従って、頓挫してしまっていた相続手続きを再開しようとしたときに、前に途中まで集めた戸籍や住民票をそのまま使用することができるのです。
もちろん、その間に引っ越しをして住所が変わったのなら住民票や印鑑証明は新たに取得しなおす必要があります。戸籍も変わったのなら、現在の戸籍を取り直しましょう。
情報に変更がなければ、取得してから月日が経ってしまっても添付書類として使用することが可能です。
しかし、以下の書類については、期限に注意が必要です。
有効期限に注意が必要な書類
- 相続人の現在戸籍
- 相続人全員の印鑑証明書
- 不動産の固定資産評価証明書
注意が必要な書類
相続人の戸籍
相続人の戸籍は、被相続人が亡くなった後に発行されたものしか原則使用できません。
被相続人が亡くなった時点で相続人が生きていることの証明をする必要があるためです。
たとえばお母さんが亡くなり相続が発生したとして、数年前にお父さんが亡くなったときの相続で自分の戸籍謄本を取ったからそれをまた使おうと思ってもそれは使用できません。
実質的に印鑑証明書には有効期限がある
金融機関の預貯金の解約手続きなどについては、有効期限が設けられている場合があります。
例えば、相続人の印鑑証明書ですが、ほとんどの金融機関は発行から3か月や6か月以内のものといった指定があります。
これにより預金の相続手続きに関して、印鑑証明書に有効期限があることになります。
ただし、法的な効果が変わるわけではないので、金融機関によっては有効期限が過ぎてしまっていても対応してくれる場合もあります。
亡くなった人が口座を持っていた金融機関に確認しましょう。
固定資産評価証明書
固定資産評価証明書は、最新の年度のものを取得しなければなりません。
登録免許税を計算するために、最新の不動産価格が必要なのです。亡くなったときの不動産価格ではなく、最新の価格で計算します。
固定資産評価証明書は、相続登記において毎年4月1日に年度の切り替えがされます。
以前取得したものが年度をまたいでしまっていたら、取り直しましょう。
まとめ
相続を放置してしまうと、その後にさらに相続が発生するなどして手続きが複雑になってしまう可能性があります。
途中になってしまっている場合でもなるべく早く手続きを再開するようにしましょう。