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認知症初期に遺言書を作成する方法

 

まだ認知症というほどではないけれど、親とのやり取りで「あれ?」と思うことが増えてきたら、家族としては財産の保護や相続対策を考えるタイミングです。

認知症が進行してしまってからでは、財産は凍結され何もすることができません。

親の財産を守る意味でも家族から相続対策をしておくことを提案してあげてください。

相続対策の中で最も効果的であるのは遺言書です。

この記事では、認知症初期段階における遺言書作成をご紹介します。

 

認知症が軽度のうちに遺言書を作成する

認知症が軽度のうちに遺言書を作成するポイントは以下のものです。

  • 遺言書の内容を複雑にしない
  • 診断書で判断能力を証明する
  • 公正証書遺言で作成する

遺言書の内容を複雑にしない

認知症が進行して成年後見人がつくと、遺言書を作成してもらうことが難しくなります。

本人の判断能力が一時回復した時に主治医等の医師2名の立会いのもと書かれた遺言書に、医師が署名押印することで有効な遺言書とすることはできますが、珍しいケースになります。

また、成年後見人がついていなくても、書いた当時に遺言能力が無かった場合は無効になってしまいます。

遺言能力とは、書かれた遺言の内容を本人がきちんと理解していたか

ということです。

民法では、以下のように規定されています。

「15歳に達した者は遺言をすることができる。」(民法961条)

「遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。」(民法963条)

遺言能力を具体的に示すことは難しいです。

裁判では

  • 法的見地
  • 医学的見地

から総合的に判断されます。

判断能力が衰えていた状態にもかかわらず複雑な内容の遺言を残していたとすれば、有効性に疑問符がつきます。

成年後見人がついていない人が書いた遺言書であれば有効というわけではありません。

文言が単純といった表面的なことではなく、遺言書の内容がもたらす結果が単純かどうかで必要な事理弁識能力が変わります。

有効・無効の判断は

  1. 遺言の内容
  2. 遺言書の病状、認知症の程度
  3. 遺言をするに至った経緯、時間的関係
  4. 動機

を総合的に見て判断することになります。

アルツハイマー型認知症の場合は、初期の段階でも記憶障害や意欲障害が目立ってきます。

病気の経過とともに見当識障害や言語障害、判断障害が加速度的に進行する場合があるので、遺言書を書くのであればできるだけ早く作成することが必要になります。

 

遺言時の診断書をきちんと残す

遺言能力があったかどうかを判断するのは難しく、もし相続人のなかに遺言書の内容に不満な人がいた場合、遺言能力がなかったことを主張される可能性もあります。

より確実に遺言書の有効性を持たせるために、医師の診断を受けて認知症が軽度であることの証明に診断書を添付するとよいでしょう。

親とのやり取りで、「認知症が始まりかけているのかな」と感じることがあれば、早期に診断を受けることをおすすめします。

ただし、医師の診断書は「認知症」に関する診断であり、遺言の能力があるかどうかの診断ではないことに注意しましょう。

 

公正証書遺言で作成しよう

遺言書を公正証書遺言にすることをおすすめします。

遺言書には要件があり、記載漏れや誤りがあると、たとえ意思能力に問題がない人が書いたものでも無効になります。

公正証書遺言であれば、書き方を間違えたことによって無効になることはありません。

また、証人2名の立会いのもとあなたの親が話した内容を公証人が遺言書にしますので、より遺言能力があったことの証明になるでしょう。

ただし、公証人が作成したからといってその遺言書の有効性が担保されるわけではありません。

意思能力が無い状態で作成されたと判断されるものは公正証書遺言であっても無効となることがあります。

相続人の誰かが段取りをしたうえで、公証人による意思確認も厳密に行われないまま作成されてしまう場合もあるためです。

しかし、それでも公正証書遺言は自筆の遺言書より確実性があります。

親の意思能力がはっきりしているうちに作成してもらうようにしましょう。

公正証書遺言の作り方については以下の記事に詳しく書いたので読んでみてください。

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まとめ

認知症が始まったからといって、遺言を残せないというわけではありません。

きちんとした手続き、証拠書類を残すことによってもめ事の置きにくい遺言書にすることもできます。

ただし、認知症時の遺言書を作成するのは、あとあとトラブルになりやすいです。

特に財産を貰えなかった相続人からは遺言の有効性にクレームがでます。

なるべくであれば認知症が始まる前に作成しておきましょう。

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