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成年後見人は親族が望ましいと最高裁が判断。今後の成年後見はどうなるか

3月18日、最高裁は成年後見人には、「身近な親族を選任することが望ましい」との考え方を示しました。

この判断により今後の成年後見制度に大きな影響がでることが予想されます。

最高裁の判断で今後の成年後見制度がどのように変わっていくのか書いてみたいと思います。

 

成年後見人選任の問題点

認知症などで判断ができない方の財産を守る制度が成年後見制度です。

財産を管理する人のことを成年後見人といいます。

この成年後見人の選任については、いろいろ議論がありました。

成年後見制度に対してあがっていた不満点は以下の点です。

  • 親族が後見人に立候補しても、家庭裁判所が選任をしないと後見人になれない
  • 弁護士や司法書士が後見人になる場合、家族が選ぶことができない
  • 専門家の報酬が高額で一生涯払い続けないといけない
  • 成年後見人が会いにこない
  • 成年後見人に勝手に財産を使われた

成年後見制度の開始当初は、親族が後見人になることがほとんどでした。

その後、親族の横領が相次いだことから弁護士や司法書士、社会福祉士といった専門職の後見人が選ばれるようになります。

ただし、専門職においても横領が多発している状況でした。

専門職の場合は、月額2~6万円の報酬と法律的な事務をするごとに費用が発生します。

不動産の処分をした場合には、報酬が100万円近くかかることもあります。

そのような背景から、親族が成年後見制度の利用を望まないという状況が発生していました。

実際に私の事務所にも

「成年後見制度を使いたくないがどうしたらいいか?」

という相談が年に何件もきていました。

 

後見制度に関する最高裁の判断の理由

最高裁が「親族が望ましい」としている理由としては、

「後見人にふさわしい親族など身近な支援者がいる場合は、本人の利益保護の観点から親族らを後見人に選任することが望ましい」

と述べています。

本人の利益のためには、専門家よりも家族などの身近な方がいいだろうということです。

今までは家庭裁判所の判断で,本人の利益保護のため専門職の後見人の選任をおこなうということがされていましたが、それが大きく変わることになりそうです。

 

今後の成年後見制度は?

成年後見制度は親族や身近な方が成年後見人として選任されていくことになりそうです。

ただし、今までの親族後見ではなく、

親族後見 + 後見制度支援信託

という形が主流になるでしょう。

後見制度支援信託とは、認知症などで判断をすることができなかった方の財産を信託銀行等に預け、財産の保護をはかる制度です。

後見制度支援信託については以下に詳しく書いてあります。

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口座からの出金については、信託銀行と家庭裁判所が監督することになるので、財産を自由に使うことはできません。

管理の手間は大変なことには変わりがありません。

 

専門職後見人の変更も柔軟になる

現在、専門職後見人の変更を家族が希望しても、横領、任務懈怠などの相当悪質な理由がなければ認められません。

それを理由として、家族と後見人の弁護士とのトラブルもよく耳に入ってきていました。

最高裁は、後見人の交代についても状況の変化に応じて柔軟に交代・追加選任を行うとすることを表明しています。

成年後見制度の利用が進んでいない現状を踏まえ、成年後見制度をより使いやすくしようという意図がみてとれます。

 

まとめ

最高裁の判断がでて、今年の1月に各家庭裁判所には通知がされています。

今後、後見制度は家族の選任が増えていくものと思われます。

専門職の費用の心配をしていた家族にとっては使いやすい制度になるでしょう。

ただし、成年後見制度自体、財産の凍結は避けられません。

任意後見契約、家族信託等を使って認知症から財産を守ることもきちんと対策しておきましょう。

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