不動産の相続手続において注意しなければならないのが道路部分の名義変更です。
親の家と土地は名義変更をしたけれど、道路部分の名義変更を忘れてしまったという方が本当に多いです。
道路部分の手続きを忘れると、そのままでは売却ができません。また、名義変更の手続をもう一度しなければなりません。
この記事を読んで名義変更を忘れを防ぎましょう。
土地には建物が建っている部分以外に道路部分が存在する場合がある
土地はあなたが思っているよりもかなり細かい単位に分かれています。
建物が建っている主要な土地の部分以外にも、小さく切り分けられた通路部分があったりします。
最近の住宅では近くの住民がみんなで所有する道路なんてものも多くなっています。
以下の図はあなたもよく見る形の一戸建ての形態です。この私道部分を全員で所有する道路を共有道路と言ったりします。
相続手続をする場合は、こうした小さな土地に関してもきちんと名義変更をしておかなければなりません。
建物に関しては目に見える部分なので区切りが分かりやすいですが、土地の境目については目に見えないため名義変更の手続きの際見逃してしまうことが多いのです。
相続手続で道路部分を見逃してしまう理由
「毎年固定資産税の通知書が来ているので、親の土地はそれを見ればわかるんじゃないの?」
と思っている方は注意が必要です。
道路部分の把握が難しいのは、固定資産税の納税通知に全ての所有している不動産が載っているわけではないという点です。
小さな土地で非課税となっていたり、道路部分が非課税となっている場合には、所有しているのに通知書に記載がない場合というのがあるのです。
例えば、固定資産税では「公共の用に供する道路」については非課税措置が取られています。
公共の用に供する道路とは、所有者が何ら制約を設けず広く不特定多数の人が利用できるものとされています。
こうした公共の用に供する道路というのは、まちの中に無数に存在します。
ですので納税通知書で不動産を把握している場合は、相続手続の時に道路部分の名義変更を忘れてしまうのです。
相続不動産の道路部分はどうやって調べるか
相続不動産の道路部分については、以下の4つの調べ方があります。
- 不動産の権利証で確認する
- 名寄帳を取得する
- 登記事項証明書を共同担保目録付きで取得する
- 公図から推測する
上から順に道路部分を調べる際には確実な方法となります。
不動産の権利証で確認する
不動産を手に入れるときには必ず名義変更手続を行います。その際に発行されるのが登記済証や登記識別情報というものになります。
これらは一般には土地の権利書などと呼ばれています。
よくドラマや小説などで借金取りが土地の権利書を取り上げるなどという場面がでてきますが、あれは土地の権利書を取り上げて、借金が返せないときには土地を取られるということなんですね。
実際には、そんな簡単に名義変更はできないんですけどね。
この権利書には、取得不動産の内容が細かく記載されています。
ですので権利書をみれば、道路部分も載っています。
故人が持っていた全ての権利書を見れば相続不動産の内容を把握することができます。
名寄帳を取得する
名寄帳とは、ある人物が持っている不動産の一覧表のことで、土地の所有者が市町村の固定資産税の係で取得することができます。
相続手続に場合は相続人から取得することも可能です。
名寄帳にも固定資産税の納税通知書に載っていない道路部分が記載されています。
注意が必要な点は、
- 単独名義の土地と共有名義の土地の名寄帳は別
というところです。
市区町村によっては共有名義の土地は地番が分からなければだせないとか、代表者の名前を伝えないと交付されないといったケースがあります。
登記事項証明書を共同担保目録付きで取得する
この方法は土地が担保に入っている場合にのみ有効な方法です。
共同担保目録とは、複数の不動産を同時に担保にいれた場合に作成される一覧表のようなものです。
住宅ローンなどの融資を受ける際には、土地と建物全てに抵当権や根抵当権といった担保権を設定します。
この場合、道路部分にも担保が設定されることになるのでこの一覧表から道路部分を発見することができます。
ただし、まれに道路部分が農地であるなどの理由で担保が設定されないこともあるので確実な方法とはいえません。
公図から推測する
公図とは法務局で請求できる一筆ごとの土地を示した地図のようなものです。
以下が公図の例になります。
公図を見るとあなたの家の土地の周辺がどのように区分されているかを確認することができます。
この公図から土地に付属している道路部分を目でみて確認して推測することで故人の所有していた道路を探すことができます。
「赤丸内の633-3の土地を所有しているのであれば、633-2の土地が道路でその土地を所有している可能性があるな」
なんて判断していきます。
登記事項証明書の取得には、書面申請ですと1通600円かかりますので、費用を節約したい場合は、登記情報提供サービスというオンラインで登記情報を見ることのできるサービスを使うといいでしょう。こちらだと1通145円で所有者だけ確認することができます。
公図の弱点としては、必ずしも正確な記載ではないということです。古い地図が使われている場合も多く現況の土地の区分とはずれてしまっているものも多いです。
公図で探す場合はすべての道路部分を探せるというわけではないのであくまで補助的な方法になります。
相続不動産で道路部分が見つかったら土地と建物と同時に名義変更を
道路部分がある場合は、必ず一緒に相続による名義変更をするようにしましょう。
また、道路部分以外にも相続手続で注意する点としては、ゴミ捨て場や家庭菜園の畑が家と離れたところにある場合があります。
相続手続の際には不動産の調査をきちんと行って、名義変更の2度手間や相続税の申告漏れなど注意が必要です。
上記の方法できちんと不動産を調べて見落とすことのないようにしてください。