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相続不動産の名義変更のための効率的な書類の集め方

親が亡くなって相続が発生したときには相続人が様々な書類を取得しなければなりません。

相続人の代表としてあなたが動く場合には、誰の、何を、どこで、取得すればよいのか、種類が多くて本当に大変です。

後から足りないものがでてきて、何度も役所へ行ったりするのは面倒ですよね。

相続手続のプロから見てこうした方がいいという書類集めの段取りを解説しますのでこれを参考に少しでも自分の負担を減らしてみてください。

 

相続手続に必要な書類集めの段取り

相続不動産の名義変更の手続に必要な書類の効率的な収集方法は以下のような段取りになります。

  1. 自分の本籍地入り住民票と印鑑証明書を取得
  2. 自分の戸籍謄本を取得
  3. 亡くなった親の本籍・筆頭者を記載した住民票の除票を取得
  4. 亡くなった親の出生から死亡までの戸籍収集の開始
  5. 不動産の固定資産評価証明書の取得
  6. 他の相続人へ戸籍謄本と印鑑証明書の準備の通知
  7. 自分以外に不動産を取得する相続人がいれば住民票の準備を請求
  8. 亡くなった親の戸籍収集が終了したら遺産分割協議書の作成へ
  9. 他の相続人へ遺産分割協議書への押印を依頼し、同時に戸籍謄本、印鑑証明書、住民票を回収

なぜこのような順番が効率的なのか一つ一つ見ていきましょう。

 

1.自分の本籍地入りの住民票と印鑑証明書を取得する

自分の本籍地入りの住民票と印鑑証明書を市区町村役場で取得します。

まず自分の住民票と印鑑証明書から集める理由としては、

  • 戸籍の所在地である本籍地を知ることができる
  • その後の不動産の名義変更で住民票が必要になる
  • 印鑑証明書は不動産、預貯金、株式などあらゆる名義変更で必要書類となる
  • 自分の生活圏に書類があるのですぐに請求できる

という点です。

相続手続をすすめる上で一番大事なのが、本籍地を知り自分の戸籍謄本を手に入れることです。

相続の書類集めにおいては、自分が相続人であるという公的証明書がなければ、亡くなった親の書類を請求することができません。

まずは自分と親とのつながりを証明する戸籍を確実に取得するため本籍地入りの住民票できちんと本籍を確認しましょう。

もちろん自分の本籍地が分かっている場合は、すぐに戸籍を取得してください。

 

2.自分の戸籍謄本を取得

戸籍を取得するためには、本籍地と筆頭者の情報が必要です。

役所では本籍地と筆頭者で戸籍の検索をします。もちろんある程度分からなくても推測して戸籍を出してくれます。

ただし戸籍を出せるのは、その市区町村内に本籍地がある場合のみです。

その点、先に住民票で本籍と筆頭者を確認しておけば役所へいったけど戸籍がみつからなかったなんて無駄を防ぐことができます。

もし、住民票を取った結果、戸籍が遠方にある場合は郵送請求を利用します。

本籍地の市区町村のホームページで郵送用の申請書をダウンロードできることがほとんどですので、確認してみてください。

郵送請求をする場合は、

  • 本人確認書類の写し(免許証やパスポートのコピー)
  • 手数料分の定額小為替

が必要になるので準備しましょう。

定額小為替は郵便局で買うことができます。

 

3.亡くなった親の本籍・筆頭者を記載した住民票除票を取得する

親の住民票除票を最後に住民登録をしていた市区町村役場で取得します。

住民票の除票を最初に取ることのメリットは

  • 親の最後の本籍地が載っている
  • 生年月日、死亡日の記載がある
  • 不動産の相続手続で必要書類となる

という点です。

意外と亡くなった親の本籍地が分からない場合も多いので、親の戸籍を集めるまえに住民票の除票を取ります。

この住民票の除票を請求する際に自分の戸籍謄本が必要になります。ですので先に自分の戸籍を取る事が大事なのです。

 

住民票の除票の集め方

親が亡くなった時に市区町村の役場へ死亡届を提出したはずです。そのときと同じ役場へ行きます。

そこで、親の住民票の除票を取得します。

住民票の除票とは、住民登録が抹消されたときに市区町村が作成しているものです。

死亡届を提出しているので、死亡により住民登録が抹消されたことが記載された、住民票の除票が作られています。

役所に備え付けの交付請求書に「除票」にチェックを入れる欄があると思いますので、チェックを入れて窓口に出しましょう。

また、「本籍地を記載する」にもチェックを入れるようにしてください。

自分の身分証明書と、手数料(1通300円程度。自治体によって異なります)、それから上記で取得した自分の戸籍謄本を持参してください。

この戸籍謄本が、自分と親が親子であることの証明となり、住民票を取得できます。

自分の戸籍謄本は後でまた使うので、取っておいてください。

なお、親と同居していた場合は、このときに自分の戸籍謄本を持っていかなくても取得できます。

 

4.亡くなった親の出生から死亡までの戸籍の収集の開始

相続手続の中で一番時間がかかるのが親の出生から死亡までの戸籍の収集です。

多くの役場へ請求することになるので2~4週間、長い場合は1か月以上かかることもあります。

これが終わらないと相続人が確定できないため誰がどの財産を取得するかといった話が無効になってしまう可能性があります。

いかに出生から死亡までの戸籍収集に早く取り掛かるかというのが相続手続をすすめる上でキーポイントになります。

この段階では亡くなった親の本籍・筆頭者の情報、そして自分の戸籍謄本の写しが必要になります。

まるでパズルのようですね。

ですので相続書類の収集には段取りが大切なのです。

 

出生から死亡までの戸籍収集の仕方

上記で取得した住民票除票に、親の本籍地が載っているはずです。

親の出生から死亡までの戸籍謄本を取るため、まずは住民票除票にのっている本籍地に請求します。

役所に備え付けの交付請求書に、必要な証明書はどれかをチェックする欄がありますので、「戸籍謄本」「除籍謄本」「改製原戸籍」の3つにチェックを入れてください。

そして必ず、「相続に必要なので出生から死亡までほしい」と伝えましょう。記載する欄があれば、記載してください。

そこで取得した戸籍に関して内容を見ると、いつからいつまでの戸籍の情報かということ、その前に存在した戸籍の情報が記載されています。

これを出生まで遡っていきます。

なお、最後の本籍地以外への請求では、「除籍謄本」と「改製原戸籍」を請求すれば大丈夫です。

 

戸籍取得の料金についての注意点

戸籍謄本の交付手数料も自治体によって異なりますが、住民票より少し高く設定されている場合が多いです。といっても、数百円です。

郵送での請求も可能です。市区町村にホームページから請求用の書式がダウンロードできる場合がありますので確認してください。

なお、「改製原戸籍」とは、戸籍法の改正や戸籍を管理しているシステムの変更等により、本人が転居や婚姻などをしていなくても勝手に作り直された戸籍です。

これが何通あるのか請求する時点ではわかりません。ということは、手数料がいくらかかるのかもわかりませんね。

窓口で取得する場合は、言われたとおり支払えばよいですが、郵送の場合は定額小為替をあらかじめ同封して送らねばならないため、ちょっと困りますね。

多めに入れて送る、というのもアリですが、念のため市町村役場に事前に電話で確認してみるのが安全でしょう。

ちなみに私が職権で戸籍を集めるときには、3000円ほど定額小為替を入れています。余った小為替はお釣りとして返送してくれますのでご安心を。

 

戸籍から思わぬ相続人がでてくることも!

どこかから転居してきた、とか婚姻により新たに戸籍が作られた、ということで、人生の途中からの戸籍しか一回の請求では取得できないことのほうが多いものです。

転籍や婚姻により戸籍が新たに作られたときには、どこから受け入れたか、が戸籍の初めのほうに書いてあるはずですので、それを確認します。

出生から死亡まで取得しなければならないのは、親の遺産を相続できる権利がある人が誰なのかを証明するためです。

母が亡くなり、すでに父も他界しているので、遺産を相続できるのは自分だけかと思っていたのに、母の戸籍謄本を集めたら、父と結婚する前に別の人と結婚していて子供もいた!なんてこともあり得なくはないのです。

 

5.不動産の固定資産評価証明書の取得

親が土地や家などの不動産を所有していた場合です。

親に不動産の所有がなかった場合は、この項目はスキップしましょう。

不動産を所有していたなら、固定資産税を支払っていたはずです。

まずは、その固定資産税を支払う際の納税通知書を家の中で探してください。

親の固定資産税納税通知書を、親の家で探します。

不動産は親が住んでいた家と土地だけとは限りません。

親が遠くに住んでいた自分の親の不動産を相続していたり、別の土地も管理していたりするかもしれないので、すべての納税通知書を見つけてください。

納税通知書は、不動産の所在地となる市区町村からそれぞれ発行されています。

不動産を相続するときには、「固定資産評価証明書」を取得する必要があります。

「固定資産評価証明書」を請求するときに、固定資産納税通知書に記載されている土地や建物の地番や家屋番号が必要になります。

不動産の固定資産評価証明書を、その不動産の所在地となる市区町村役場の税務課で取得します。

手数料(1通300円程度。自治体によって異なります)がかかりますので、持っていきましょう。

郵送での請求も可能です。その場合は、定額小為替を同封します。

郵送での請求書式や手数料は市区町村によって異なるので、ホームページで確認しましょう。

 

6.他の相続人へ戸籍謄本と印鑑証明書の準備の通知

亡くなった親の出生から死亡までの戸籍を集めている間に他の相続人に必要書類の準備をすすめてもらいます。

具体的手には、

  • 現在の戸籍謄本
  • 印鑑証明書

を準備してもらいます。

戸籍謄本と印鑑証明書は誰が相続することになるにせよ必要な書類の上、不動産の相続手続に関しては有効期限がありません。

ただし、金融機関によっては発行後半年以内のものを持ってきてくださいなどと言われることもあります。

相続の話合いが長引きそうな場合は、話し合いがまとまってから取得するようにしましょう。

 

7.自分以外に不動産を相続する人がいれば住民票の準備を請求

不動産をあなた以外にも相続するというケースも想定されますね。

その場合は、あなた以外の不動産を取得する相続人の住民票を一緒に準備してもらいましょう。

不動産の名義変更の際に住民票を使うことになるからです。

印鑑証明書を取りに行くときに一緒に住民票が取得できるので効率的です。

 

 

8.戸籍の収集が終われば遺産分割協議書の作成へ

亡くなった親の出生から死亡までの戸籍が揃うと相続人の確定ができます。

ここで初めて誰が相続人なのか判明するわけです。

隠し子や認知などで新たな相続人がでてこない限りここまでの段取りで全ての書類はそろっています。

相続人同士の話合いで誰がどの財産を相続するかが決まっていれば、その内容で遺産分割協議書を作ります。

 

9.他の相続人へ遺産分割協議書への押印を依頼し、同時に戸籍謄本、印鑑証明書、住民票を回収

 

遺産分割協議書には相続人全員が実印で押印をしなければなりません。

遺産分割協議書には、相続人が集まった場で押印をもらってもいいですし、郵送で送ったものに押印してもらってもどちらでもかまいません。

ただし、意外と実印を間違ってしまう方が多いです。

各自の手元で印鑑証明書と印影を照合してもらってから押印してもらうようにしてください。

この段階で他の相続人に集めてもらっていた書類を回収するのがもっとも効率的です。

 

相続の書類集めはとにかく段取りが大事

遺産の相続にあたっては、必要書類の収集がとにかく大変です。

ここをいかに効率的に集めるかで相続手続の負担が大きく変わってきます。

この記事を参考に効率よく書類を収集して、スムーズに相続手続を終わるよう段取りしてみてください。

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