相続対策として有効活用されるのが生命保険です。
「生命保険は相続税の節税になる」なんて話は知ってる人が多いですけど、実はそれ以外にも有効な使い方があるんです。
この記事を読んで相続対策として生命保険の活用を検討してみてください。
1.生命保険金は葬儀費用等の準備金として使える
生命保険金は預貯金のように口座が凍結されて引き出せなくなる心配がありません。
財産を預貯金で銀行口座に預けていた場合、あなたが死亡したことを金融機関が知ると銀行口座は凍結されて一時的にお金を引き出せなくなります。
お金を引き出すためには、あなたの生まれてから死ぬまでのすべての戸籍を多くの役所に請求したり、相続人全員の合意で遺産分割協議を成立させたりと多くの手間と時間がかかります。
亡くなった後の葬儀費用や生活費が手元になかったら、のこされた家族は困りますよね。
そんな時に役立つのが生命保険です。
生命保険の利点は亡くなってから請求すると早期に支払われることです。
保険法では請求書を受け付けてから5営業日以内に支払いすることになっています。
現在、生命保険はだいたい3営業日内、遅くても一週間以内には保険金の支払いが行われます。
銀行口座が凍結されてしまっても、生命保険の保険金があれば葬儀費用、凍結解除するまでの生活資金を準備しておくことができます。
指定受取人は自由ですから、奥さんを受取人にしたり、面倒を見てくれている息子を受け取り人にしておくことで医療費や葬儀費用などの急な出費があっても家族に迷惑をかけることがありません。
2.生命保険には非課税枠がある
生命保険は残された家族の生活の支えになるように保険料を支払うものですから、相続税法は一定金額を非課税としています。
非課税の限度額は
500万円 × 法定相続人の数
です。
奥さんと子供2人が相続人の場合
500万円 × 3(人) = 1500万円
分の生命保険金が相続税の課税対象となりません。
相続財産が多く、相続税の課税対象となりそうな場合は生命保険を利用することで多額の相続税を節約することができます。
3.遺産相続の揉め事を防ぐ
生命保険はいわゆる「争族」対策としても使えます。これが一番有効に活用できるケースかもしれません。
相続で一番揉めやすいのは不公平な遺産分割です。
「平等に分ければ揉め事は起こらないでしょ」
と思うかもしれませんが、現実的には遺産を平等に分けるというのは極めて難しいです。
不動産を平等に分けようとした場合、物理的に切って相続人で分けることが出来ないので、相続人全員で1件の家や土地の権利を分けることになります。
この状態を「共有」というのですが、不動産を相続人で共有状態にしておくとのちのち大変なことになります。
家や土地を処分する場合は取引に全員が関与しなければならなくなりますし、誰かに相続が再び起これば極めて複雑な権利関係になり、最悪処分できないなんて危険もあります。
ですので相続人の共有にすることはおすすめできません。
通常は、不動産に関しては遺産分割協議をおこなって同居の親族のものにしますが、他に相続財産がない場合非常にもめることになります。
多くもらう人と少なくもらう人ではどんなに仲がよくても不公平感や不満をもちます。これは人間だから仕方ないですね。
こんな時、生命保険金で現金を用意しておけば、
「兄が不動産をもらう代わりに弟には相続分の現金を渡す」
といった円満な解決が図れるわけです。
実際の相続では他の相続人に現金を渡すために金融機関からお金を借りて支払うケースもあります。
あなたが現金を用意しておかなかったばかりに、家族に借金を背負わせることになるわけです。
そうした事態を避けるためにも生命保険は有効に使えます。
まとめ
相続対策に生命保険が有効な理由がわかって頂けたかと思います。
生命保険は複雑で分かりにくい商品ですから、保険の中身に詳しい担当者と相談しながらの対策が必要です。
保険営業はどうしてもセールストークになってしまうので、第三者の専門家を交えて相談していくのをお勧めします。