相続が発生して遺産の分割方法について相続人同士で話し合った内容を書面にしたものを遺産分割協議書と呼びます。
遺産分割協議書に不動産の相続について記載するときには、どの土地や建物かを明確にするために、住所ではなく地番を記載します。
土地や建物の地番は、権利証や毎年届く固定資産税納税通知書に記載されているので確認しましょう。
両方確認したら、権利証と固定資産税納税通知書に書いてある地番が違っていることがあります。
そのときはどちらを遺産分割協議書に記載すればよいでしょうか。
相続関係の書類には最新の地番・家屋番号を使用する
権利証や遺言書の土地や建物の地番・家屋番号の表記と現在の地番・家屋番号が違う場合は、
現在の地番・家屋番号を使用します。
- 遺産分割協議書
- 不動産の登記申請書
- 相続税の申告書
といった相続関係の書類には現在の地番・家屋番号を書きましょう。
不動産登記の申請を忘れていなければ、過去からどんな経緯でその土地になったのか履歴がすべて法務局で管理されています。
権利証や遺言書の記載と現在の地番・家屋番号がずれていても問題なく手続きができます。
家の財産を守るためにも変更があった際には登記申請をきちんとしておくことが大事ですね。
地番が変わる原因
土地を特定するための所在や地番は、一定の理由で変更がされます。
土地の所在や地番が変わる原因としては、以下のようなことがあります。
土地の所在・地番が変わる原因
- 地番変更、町名地番変更
- 分筆
- 区画整理
- 登記官による職権変更
建物の家屋番号は原則変わりませんが
上記のような理由で底地の地番が変わった場合に、建物の家屋番号が変わることがあります。
町名地番変更とは?
町名地番変更とは、町名地番が混乱している区域の町名及び地番を変更し、住所等を分かりやすくする事業です。
藤沢市の場合、昔私の住んでいたところは「藤沢」という名前から「白旗」に変更になりました。
最近だと、柄沢近辺に「並木台」という新しい地名がつけられますね。
このように一般的に区画整理をともなって、土地の番号を整理するのが町名地番変更です。
この事業が行われると土地の地番等は大幅にかわることになります。
分筆による地番変更
一つの土地を複数に分割することを土地の分筆といいます。
分筆をすると地番が変更になる土地とならない土地がでてきます。
土地の地番に枝番がついていない土地を2つに分筆した場合は、
151 → 151-1、151-2
のように2つの番号が振られることになります。
土地の地番に枝番がついているケースでは
151-1 → 151-1、151-23
といった具合に同一の枝番で最終のものの後の数字が分筆後の土地に振られます。
ですので
権利証や遺言書の不動産の表記と地番が同じだからといって、相続手続をしてしまうと
分筆後の土地の手続や申告を忘れてしまうといったケースがあるので注意が必要です。
区画整理による地番変更
区画整理によって土地の地番が変わるのはイメージが付きやすいかと思います。
土地の区画整理が行われると全く違った整った形の土地ができるケースがほとんどです。
この場合は、もともと持っていた土地の分に相当する新しい土地をもらうことになります。
これを換地処分といいます。
換地処分が行われた場合でも、相続の対象となるので新しい地番のもので申請をすることになります。
登記官による職権変更
地番は法務局の登記官の職権によって変わることもあります。
これは、誤って地番が重複している土地が発見された場合には、登記官が自分の権限で数字を変えることがあります。
この際、所有者には地番変更通知書が送られます。
現在の地番の調べ方
亡くなった人が持っている不動産についての地番・家屋番号については、
- 固定資産税納税通知書
- 名寄帳
- 法務局に電話をして聞く
- ブルーマップで調査する
といったもので確認することができます。
こちらの調べ方については、以下の記事を参考に読んでみてください。
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固定資産税納税通知書に載っていない土地の調べ方
固定資産税納税通知書には、その人が持っているすべての土地や建物が記載されているわけではありません。
固定資産税がかからない土地について記載がされていない場合があります。
そうした土地についても相続手続の対象となります。
こうした土地については
「亡くなった方の所有していた権利証」
をよく確認することが大事です。
そこには、すべての不動産の記載があるはずです。
自宅にない場合は、銀行の貸金庫に保管しているケースもよくありますね。
未登記建物があるときの書き方
現在の家屋番号が違うんじゃなくてそもそも建物の登記をしていないといったケースでは
基本的には納税通知書の情報を参考に
家屋番号 未登記
として書類を作成していきます。
間違えてはいけないのが、登記をしていない物件も相続の対象になるということです。
もちろん、財産としての価値があれば相続税の申告の際にも評価をして申告しなくてはいけません。
また、そのままでは相続人の名義へ変更ができませんが、相続をしたら
未登記物件相続届や所有者変更届といった書類を自治体に出しましょう。
未登記の建物に名義を入れたい場合は、専門家に相談して
- 建物保存登記
- 所有権保存登記
の二つをしましょう。
未登記建物でお困りの方の相談は私の事務所でもよく承っています。
まとめ
遺言書や権利証の不動産の表記と現在の地番・家屋番号が一致しないことはよくあります。
不動産の相続手続に慣れている一般の方はほとんどいませんのでどうしていいか分かりづらいところですね。
基本的には、遺言書や権利証の情報をもとに現在の不動産との同一性を確かめて、
現在の地番・家屋番号を書類には使うようにしてください。