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成年後見で利用が拡大する後見制度支援信託とは?

後見人選任の申立てをすると、ほとんどの場合家庭裁判所から後見制度支援信託について提案があります。

後見制度支援信託といきなり聞かされても分からないですよね。

ただ、知らないからといってなんとなく利用するのはおすすめできません。

後見制度支援信託を利用するかしないかは、その後何十年と関わる重要な選択となるかもしれません。

ぜひこの記事を読んで知識を身につけてください。

 

後見制度支援信託とはなにか?

後見制度支援信託とは、認知症などで判断能力を失った人の金銭を信託銀行等に管理させる制度です。

家庭裁判所や金融機関が財産について見張ることで後見人の横領を防ぎます。

家庭裁判所が選任した親族や専門職の横領が多発したことから作られた制度です。

後見制度支援信託をすると

  • 財産の払い戻し
  • 契約の解約

は家庭裁判所の指示書がなければできなくなります。

後見制度支援信託では、強く財産が保護されるかわりに本人のために財産を使うのも容易でなくなります。

なお、金銭以外の動産や株式といった財産では後見制度支援信託を利用できません。

 

後見制度支援信託のメリット

 

後見制度支援信託のメリットは以下のものになります。

後見制度支援信託のメリット

  • 本人の財産を安全・確実に保護することができる
  • 財産管理について後見人の負担を軽くすることができ、金銭管理の方法に関する親族間のトラブルを未然に防ぐ
  • 財産の残高は、報告書や通帳等で確認ができ、それらを家庭裁判所に報告する際にも利用できる。
  • 契約だけ専門職がして、あとの財産の管理を家族がするといったことができる。

 

本人の財産の保護と後見人の負担の軽減が大きなメリットです。

また、多額の財産があるケースに専門職以外が後見人に就任することができるようになります。

専門職の後見人には報酬の支払いが発生しますので、そういった意味では、将来的な費用負担の軽減につながります。

 

後見制度支援信託の手続きの流れ

後見制度支援信託の利用は以下の様な流れで行われます。

  1. 後見開始の申立
  2. 家庭裁判所の審理
  3. 家庭裁判所が弁護士、司法書士等を選任
  4. 家庭裁判所に信託契約をする旨の報告書提出
  5. 信託契約締結
  6. 後見制度支援信託の開始

基本的に成年後見制度の利用を申立てた場合に、家庭裁判所が信託の利用を検討すべきと判断した場合は弁護士、司法書士を選任します。

選任された弁護士、司法書士が信託する旨の報告書を提出、検討の結果、信託契約の指示書が家庭裁判所から発行され、信託銀行との契約が行われます。

契約後、専門職の関与の必要性がなくなれば、専門職は辞任して、親族後見人に管理財産の引継ぎが行われます。

 

すでに親族が後見人になっている場合

すでに親族が後見人になっている場合、家庭裁判所から後見制度支援信託の利用を勧められることがあります。

この場合は、

  • 後見制度支援信託を利用する
  • 後見監督人を選任する

という2択になります。

特に財産管理に問題がなくても連絡がきます。

この場合、家族だけで後見業務を続けたい場合は必ず後見制度支援信託の利用を選択してください。

いきなり専門職が信託の契約をして多額の報酬をもっていくので納得がいかないかもしれませんが、後見監督人の選任を選択すると被後見人が亡くなるまで監督人が付き費用を払いつづけることになります。

上記の2択であれば個人的に後見制度支援信託をおすすめします。

ただ、家庭裁判所にはきちんと家族ごとの個別の事情をみて判断してもらいたいと思いますね。

 

後見制度支援信託にかかる費用

後見制度支援信託を締結するときには、その手続きのための専門家報酬を支払わねばならないことは注意しましょう。

信託銀行への信託報酬もかかります。

専門家報酬の相場としては、10~20万円程度

信託銀行の信託報酬としては、無料のところから17万円+月額3,240円と様々です。

そして、後見制度支援信託の予定配当率は低く設定されていますので、配当率の高い預金を解約して後見制度支援信託に移すとなると、損になります。

こうしたデメリットも踏まえたうえで、後見制度支援信託の利用を検討するようにしましょう。

 

まとめ

認知症の親の財産管理にはお金も手間もかかるうえに、相続時にトラブルの原因にもなりかねません。

後見制度支援信託など、利用できる仕組みは一度検討して、最適な運用を目指しましょう。

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