登記という言葉をなんとなく知っているという人はいると思います。では、どんな効果があるか知っていますか?
通常正確に知っている人はほとんどいません。登記手続きに関わることがあっても一生に1回~2回というところなので知らなくて当たり前ですね。
相続した不動産に関して
「とりあえず費用もかかるし、今のところ登記はまだいいか、、、」
なんて放置している方もいますが、これがどれだけ危険な行為か、登記の専門家である司法書士が解説していきます。
相続登記の効果とは?
相続登記をすることで初めて引き継いだ財産を守ることができます。
具体的には、
相続登記の効果
- 勝手に他の相続人に財産を処分されなくなる
- 他の相続人の債権者から差し押さえを受けずにすむ
- 第三者に対して自分のものだと主張できる
- 自分が死んだときにきちんと財産を引き継ぐことができる
- 不動産を担保として使える
といった効果があります。
不動産登記制度とは不思議な制度です。
あなたが不動産を手に入れた証拠をどんなにそろえても、登記をいれていなければ基本的に登記を入れた人に不動産を取られてしまいます。
不動産は先に手に入れた人のものになるのではなく、先に登記を入れた人のものになる
というのが日本の登記制度です。
これは民法第177条という規定で定められています。
民法第177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
あなたが相続した不動産をきちんと手に入れたというためには登記の申請をして自分の名義にしておくことが必要になります。
登記をしないことで起こる危険なこと
登記をしていない状態とは、数千万円の現金を道端に置いておくようなものです。
相続登記をしない状態で放置しておくと、財産に対する攻撃に無防備な状態となります。
怖いのが
- 借金に関しての差し押さえ
- 他の相続人が勝手に処分してしまう
といったことです。
例えば、不動産を引き継がなかった兄弟に借金があったとします。
お金を貸している金融機関や消費者金融は、いとも簡単にあなたの不動産を差し押さえて一部を売却手続きすることができます。
不動産に住んでいるあなたの関与なく、勝手に登記手続きをすることができます。
専門家の司法書士であれば、誰でもすぐできるぐらい簡単な手続きです。
不動産の一部を買ってくれる人なんているの?
と思うかもしれませんが、不動産の持分買い取りますといった広告を見たことありませんか?
なければネットで調べてみてください。とてもたくさんの業者がでてくると思います。
不動産の一部を買い取って、法的に現金化するというスキームがあるのです。
登記をしないということは危険な状態であるというのを認識することがまず大事になります。
登記がないと兄弟の財産状態にも注意を払わなくてはいけない
あなたが相続不動産を話し合いで引き継いだとしても登記がなければ、保護される財産は法定相続分までです。
不動産の一部が保護されていない状態というのは、全部が保護されていないのと同義と考えてください。
法律に明るい兄弟がいた場合、お金がなくてどうしても困った場合は、相続登記されていない不動産を売る方法があります。
詳しくは書きませんが、あなたの関与なくあなたの不動産を売ることができます。
もちろん兄弟に関しては他人の財産を勝手に処分しているので犯罪行為になりますが、買い取った方は合法的に手にいれることになります。
犯罪行為をされてもあなたは登記がないことで財産を失うことになります。
日本の制度では登記を入れない方が悪いのです。
上記の場合は、最終的には不動産の持分の分の現金を用意して買い取ることになるか、不動産を売却することになる場合が多いです。
登記をいれないということは一生こうしたリスクと付き合うということです。
法改正で登記を入れないとさらに保護されなくなった
2019年7月1日から法改正が施行なされ、遺言書による相続についても登記がなければ第三者に権利主張することができなくなりました。
これまでは遺言書があれば登記がなくても第三者に権利を主張することができました。
遺言書を書いたから財産は保護されて安心というわけではなくなってしまったのです。
今後は
遺言書 + 登記
までして、初めて遺言者の意思が反映されることになります。
対策としては、遺言書の中で専門家を遺言執行者を選任しておくか、財産を残す人にすぐ登記をするように伝えておいてください。
国としては、相続登記がされていない状況をよく思っていません。
今後も登記がなければ財産を保護しないような方向になることが予想されます。
まとめ
相続登記の効果としては、
きちんと引き継いだ財産を他人の攻撃から守る
ということになります。
遺言書に関する相続においても法改正で相続登記にスピードが求められるようになっています。
相続登記が済んでいない場合についてはなるべく早めに登記を申請するようにしてください。