子供のない夫婦の場合、夫が亡くなった場合には妻がすべての財産を相続することになるなんて思っていませんか?
確かにそういうケースもありますが、実際はそんなケースはほとんどありません。
子どものいない夫婦の相続については勘違いも多く、あとあと相続争いに発展するケースが多いです。
きちんとした知識をもって相続については夫婦で話し合っておきましょう。
1.相続人となるのが夫や妻だけではない!
あなたに子供がいない場合、まず気をつけなくてはいけないのが
あなたの財産を相続するのは配偶者+兄弟姉妹か両親になる可能性が高い
ということです。
子どもがいない場合、法律の規定を簡単にすると相続する人は以下のとおりです。
法律上の相続人
1.配偶者+両親などの直系尊属
2.配偶者+兄弟姉妹
3.両親、兄弟姉妹、及びそれらの相続人全員いない場合は 配偶者のみ
法律の規定では上から順番に適用がされます。
あなたが奥さんに全財産を残したいと思っている場合、何らかの相続対策を取っておかなければ非常に面倒なことになります。
2.夫の実家に住んでいる場合、家と土地をどのようにするか考える
夫の実家で暮らしてる場合は、不動産についてどのように相続させていくか考えておかなければなりません。
相続でもめるケースで非常に多いのが、夫の実家を妻が相続するパターンです。
夫婦に子供がいればその子供が将来的に引き継ぐことになるので文句はあまり出ないのですが、子どもがいない場合は大きな問題が生じます。
夫の実家を相続した妻が亡くなると、法律の規定上は妻の兄弟姉妹や親が相続人となります。
夫の兄弟姉妹から見た場合、自分が子供のころ暮らしていた家と土地がほとんど会ったことのない他人の物になってしまうというのは納得できる話でないのは分かりますよね。
あなたが実家に住んでいる場合は、あなたが生きている間に兄弟を含めた親族と家と土地についてどうしていくか話あっておきましょう。
親族からみれば他人である奥さんとあなたの親族の間で話合いになるような事態は絶対に避けてください。
3.老後の面倒を見てくれる人がいない
子どものいない夫婦の場合、財産を残すだけでは残された方が幸せな人生を送れるとは限りません。
高齢者の認知症の問題があります。
内閣府の発表によると2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人は認知症患者と言われており、どの家庭にも認知症のリスクは潜んでいます。
認知症になった場合には、成年後見制度を利用すればいいと考えているのかもしれませんが、後見人の職務はあくまで生活全般にわたる契約な財産管理などの法律行為を行うことであり、介護などの事実行為は含まれません。
認知症への対応や実際の介護についても財産とは別に考えていく必要があります。
何も対策しなかった場合、あなたの妻が望まない介護施設に入れられ、劣悪な環境で生活しなくてはいけなくなったとしても文句は言えないのです。
子供がいない夫婦がするべき相続準備
上記のように、思いもよらない相続人がいて相続がうまく進まない、争いが起こる、ということは避けたいものです。
特に、夫婦二人だけで生活してきた場合、ただでさえ面倒な相続の手続きを自分の子供に頼る、ということもできず、残された妻が大変な思いをします。
いまから以下の対策を行なうことで、相続のときに困らないようにしましょう。
相続人が誰になるのか調べておく
調べてみたら、あなたが把握していなかった相続人が出てくる可能性もあります。
正確に把握するためには、あなたの戸籍を出生時までさかのぼって取り寄せることです。
また、両親、兄弟姉妹が亡くなっている場合には、第3順位の兄弟姉妹の代襲相続人を調べるために、兄弟姉妹の戸籍も取り寄せましょう。
知らされていなかっただけで、子の認知をしていたり養子縁組をしている可能性もあります。
相続財産として何があるかを把握しておく
あなたの相続財産として何があるのか把握しておくことも大事です。
- 不動産は自分の名義だと思っていたが名義が変わっていなかった
- 昔買った株がそのまま放置されていた
- 保険金の受取人が妻以外になっていたなど
相続財産を調べることで様々な問題が判明することがあります。
また相続財産の額によっては相続税の支払いの準備もしておかなければなりません。
お互いに亡くなったときにどんな財産を引き継ぐのか把握するためにも調査をして、相続財産目録という一覧表を作っておきましょう。
遺言書を残す
どちらが先に亡くなるかわかりませんので、夫婦それぞれが遺言書を残すようにしましょう。
特に子供のいない夫婦は遺言書を書く事は必須です。
遺言書作成のメリット
- 相続人全員で遺産分割の話し合いをすることなく相続の手続きを進めることができる
- 兄弟姉妹相続人との争いを避けることができる
- 相続人以外に財産を渡すこともできる
特に、遺言書がない場合は、相続の手続きにあたって、ほかの相続人が亡くなっていることを証明するために、両親や兄弟姉妹の出生から死亡までの戸籍を取り寄せる必要があります。
かなりの手間になる可能性がありますので、手続きを簡単にするためにも、遺言書を残すことをおすすめします。
遺言書を書く際に注意点としては、両親には、遺留分といって相続人のために法律で保障されている一定割合の相続分があります。
遺言書があってもこの遺留分を侵害された相続人は、その分を請求することが可能です。
両親が生きていてあまり関係がよくないときは、この遺留分を侵害しないように遺言書を作成しましょう。
なお、兄弟姉妹には遺留分が適用されないので、兄弟姉妹しか相続人がいない場合は遺言書を書いておけば財産についてあとから請求をうけるということはなくなります。
認知症や介護の対策として任意後見契約や家族信託を検討する
子どものいない夫婦について、残された方の老後の面倒を誰がみるのかというのは大きな問題です。
認知症になってしまうと自分で財産の管理をすることが難しくなり、財産をだまし取られてしまうケースもあります。
また法律行為も自分ではできなくなるため、希望の介護施設への入居ができないなんてことも起こります。
こうした事態を防ぐために、日常生活の世話について任意後見契約を結び信頼できる人に託したり、家族信託という仕組みを使って財産管理を任せたりすることができます。
家族信託については最近注目されている契約で、後見制度の使いづらい点の解消に期待されています。
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まとめ
夫婦二人だけだから相続で揉め事なんて起こらないと思わずに、一度それぞれが亡くなった時の相続人は本当に自分たちだけなのか、確認してみましょう。
そして、遺言書をまだ作成していない場合は、遺言書の作成は必ずしておいてください。